IT分野のみならず、製造業でもDX化推進の動きが広がっています。しかし、経済産業省の発表したDXレポート によると、約8割の企業が旧態依然としたシステムを抱えており、具体的な動きがとれていない状況です。そもそもDX化について適切に理解できている社員は企業の中に何名いるでしょうか。
本記事では、DXの基礎知識としてDXの定義、製造業におけるDXの意義、また参考になるDX化事例などを解説していきます。製造業界において急務となるDXについて、一歩踏み出したいと考える方は参考にしてみてください。
目次
製造業におけるDXとは
DX(デジタルトランスフォーメンションの略)とは、デジタル技術を駆使して、これまで個人や特定のラインでのみ共有されていたものづくりのノウハウを蓄積し、企業全体の資産として共有・分析しやすくすることです。また、そのデータを活用し社会や顧客のニーズに合わせた革新的な製品やビジネスモデルを生み出すことをいいます。
- 【DXとは】
- 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのも のや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
引用元:経済産業省
よくIT化やデジタル化と混同されますが、少々意味が異なります。DXはIT化やデジタル化を手段として、これまでのノウハウをデータ化し収集・分析することで、企業全体に変革をもたらすことを目的とした一連のステップのことだといえるでしょう。
製造業においてDXの必要性
経済産業省が出した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」では、「既存システムが複雑化・ブラックボックス化されている状態を改善し、経営自体を改革しなければ、2025年以降、現在の約3倍に当たる最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性がある」と指摘しています。これを「2025年の崖」と名づけ、日本全体の企業に警告を鳴らしています。
また、世界中の流行にアクセスできる現代では流行の移り変わりも早く、顧客のニーズをキャッチし製造に結びつけるスピード感が大切となっています。元々現場力によって支えられていた製造業ですが、人口減少による人材確保も難しいため、これまで人の手が入っていた製造ラインを自動化し、人員リソースは企画開発や社内改革に割いていく必要があるのです。
製造業のDX化を行う目的
生製造業におけるDX化は、以下のことを目的に、現場のノウハウをデータとして蓄積します。部品の製造から組み立て、出荷後の状態までに至るすべてをマネジメントすることが可能です。
- 価値が向上する
- IT人材の不足によるリスクを回避する
熟練職員と一般職員の製造工程の違い、どの工程で切断スピードが落ちるのか、どのロット・人が担当した時に不良品が発生するのかなどを確認することができます。これらのデータを現場にフィードバックすることで、より生産性を高めることができ、品質価値の向上が可能になるのです。
また、基本的な業務改善を始め、未曾有の事態においても生産性を保てるようデータを活用できなければDX化が成功しているとはいえません。社内にITに強い人がいなくても、DX化しておけば、データ分析し時流に合った対策を講じることができるでしょう。導入にあたって現場とのすり合わせを丁寧に行うことで、スムーズなDX化に繋がり、IT人材の不足による機会損失も防ぐことができます。
製造業のDX化事例
製造業のDX化では、どのようなことが可能になるのか下記の通りまとめました。10社あれば10通りの組み合わせがあり、さまざまな課題にアプローチできるでしょう。
- 【製造業のDX化でできること】
-
- 進捗管理:個人のタスク管理やプロジェクトごとの情報共有などが行えます。比較的安価なクラウド型と企業ごとにカスタマイズが可能なインストール型があります。それぞれのツールでできることが異なるので必要な機能を見極めることが重要です。
- 原価管理:日次/月次単位で把握していた生産データをリアルタイムで把握できるようになり、合計値だけでなく、品目・ロット数で確認が可能になります。また、数量/時間以外にも気温/湿度/圧力などの環境データも加味した原価管理が可能になります。
- IoT:”Internet of Things“の略称です。コンピューター同士が繋がるのがインターネットですが、テレビやカメラ、情報家電などのモノがインターネットに接続されることをいいます。
- RFID:ID情報を埋め込んだRFタグのデータを非接触で読み書きできるシステムのことです。バーコードは1枚ずつスキャンが必要ですが、RFタグであれば複数を一度にスキャンが可能です。ユニクロの店舗レジなどで運用されています。
- 労務管理:企業が社員の労働環境(賃金、休日、福利厚生など)を整えるための管理活動のことです。
- 在庫管理:資材・商材などの供給を各企業の目標水準に合わせて維持・管理する活動のことです。
- 品質管理:提供するサービス・製品の質の向上を図るための管理活動のことです。
RFIDを取り入れることで、これまで人の手で行っていたレジ打ち業務が自動化され、労務管理の側面で人員リソースを他の部分に割けると共に在庫管理も行うことが可能です。さまざまな項目を掛け合わせることで、結果的に各企業の希望に沿ったDX化が可能になるのです。
実績班長による製造業DX化成功事例
実際に、実績班長を導入しDX化に成功した企業の成功事例をご紹介します。いずれの会社も、これまでブラックボックス化されていた既存システムや人のノウハウの部分が「見える化」したことにより、多様な改善策を見出し成果をあげています。今すぐに真似したくなる事例をいくつかピックアップしましたので、ぜひ参考にしてみてください。
DX化成功事例1:見える化で流出欠陥ゼロを実現
導入企業 | 株式会社プラセス |
---|---|
業種 | 樹脂金型、樹脂成形品及びプレス部品の組立販売 |
- 【導入前の課題】
-
- レイアウト変更に対応できること
- 担当変更、人員配置変更によるプログラム変更にかかる手間を削減できるシステムにすること
- より詳細なデータを取得することで、異常を品番単位で見える化できるようにすること
- 【導入後の効果】
-
- ワイヤレス通信を採用し、レイアウト変更時の配線の手間を削減
- 金型命数を管理することによる、メンテナンス時期の見える化を実現
- オペレーションに実績班長を組み込んで流出欠陥ゼロを実現
タブレット端末での操作が可能で、ワイヤレスでのデータ紐付けが可能だったことが決め手の一つだったようです。元々社内でシステムを構築されていたため、現場の改善に前向きな姿勢が、導入後の活用に繋がったと考えられます。実績班長を導入後、それまでの努力が実り、流出欠陥はゼロになりました。今後の課題としてタブレット一つですべてを完結できる状態を目指しています。
DX化成功事例2:作業者ごとのスキル差まで見える化。タブレットの活用が決め手。
導入企業 | 株式会社府中テンパール |
---|---|
業種 | 配線器具製造事業 |
- 【導入前の課題】
-
- パッケージシステムを利用することで費用を抑えること
- 部品の組立工場において段取り替えにかかる時間の把握ができるようにすること
- 売り上げに対する実行数を見える化してコスト分析を行うためのデータを取得すること
- 【導入後の効果】
-
- パッケージシステムの採用によって低コストでシステム導入を可能にした
- モデル工程に沿って管理ができるパッケージならではの簡単な仕組みであるため、理解がしやすい
- タブレットの活用で工数削減と品質向上を実現した
パッケージシステムであるにもかかわらず、現時点で活用する予定のない機能に関しては、すぐに導入しなくてよく、必要な時に導入することができる点が導入の決め手になったようです。それゆえに、今後の社内体制の変化によって、柔軟なシステム改変ができるところが企業のニーズに合ったといえます。
また元々は製造原価を見直した際に、人員や工程、品質状態を見える化し、作業工数や品質をスタッフごとに精査できたらという目的がありました。その目的がシステム導入によって、タブレットの活用のみで工数削減と品質向上に繋がるデータ収集ができたことが大きな前進だといえるでしょう。
DX化成功事例3:無駄をなくしミスの事前検知で不良を削減
導入企業 | 気高電機株式会社 |
---|---|
業種 | 電気、機械製造 |
- 【導入前の課題】
-
- 補助金を活用して予算を抑えたシステムとすること
- 1からの構築ではなく、システムのプラットフォームに装置を連動させて使用できるシステムを検討すること
- IoTを活用して全成型機、周辺設備を接続して成形条件と品質のデータの見える化を行うこと
- 【導入後の効果】
-
- 生産進捗の見える化による稼働率の向上
- データ分析による不良出現傾向の事前検知
補助金も利用し、自社の理想のシステムを手に入れた事例です。すでにできあがっているプラットフォームにオーダーを加えていけばIoTを活用した全成形機、周辺設備の接続から欲しいデータが得られるというイメージが1番沸いたとのことでシステム導入を検討したそうです。
生産進捗の見える化により、人的ミスで間に合わないという不稼働ロスがなくなり、稼働率向上に繋がりました。今後は、実績班長で得たデータの分析に力を入れ、スマートファクトリー化を目指すとのことです。
実績班長が製造業DXにおすすめの理由
実績班長は、IoT時代の製造現場に特化したパッケージシステムです。国を挙げて取り組んでいるDX化の動きに多くの企業が追いつけていない現状があるなか、IT人材不足に悩む企業にこそ、実績班長の導入をおすすめしたい理由があります。
- 【実績班長が製造業DXにおすすめの理由】
-
- 製造業に必要な工程を網羅する機能性
- 現場のすべてが1台のタブレットに集約できる
- 設備の新旧問わずシステム改修不要で適応できる
- 100社100様に対応できる柔軟性
それぞれの理由について詳しく解説していきましょう。
製造業に必要な工程を網羅する機能性
実績班長には主に6つの機能が備わっています。
- 1点目:より少ない手順で最大の効果を生み出す「情報収集機能」
- 2点目:顧客への回答もスムーズに行えるリアルタイム更新が可能な「進捗管理機能」
- 3点目:今まで見えなかった仕掛け品に関する在庫状況も追える「在庫管理機能」
- 4点目:リアルタイムで把握することで不良数削減が見込める現場の「品質管理機能」
- 5点目:社員への目配りがかなう「労務管理機能」
- 6点目:正確な数値化で企業としてのビジネスモデル改善に寄与する「原価管理機能」
これらはすべて、現在人や部署ごとにブラックボックス化された知見・ノウハウ・無駄を見える化するための機能です。革新的な生産活動を進めることを目的としたDX化における初めの一歩だといえるでしょう。
現場のすべてが1台のタブレットに集約できる
タブレットは現場実績を収集するだけでなく、状況写真の記録、手順動画の確認、図面の参照、指示出しなどを行うことが可能です。また、複数人での作業指示や、時間按分なども行うことができます。文字通り、その場から一歩も動かずにものづくりを可能にするのがタブレットといえるでしょう。
現場の確認や指示出しに割く人員リソースを省くことができるため、製品の企画開発や顧客ニーズの動向など、企業の未来に時間を使うことが可能になります。
設備の新旧問わずシステム改修不要で適応できる
実績班長は多様なセンサーとも連携できる専用ツールを用意し、現場のあらゆるデータを取得することを可能にしています。また、既存のシステムに適応させるための難解なシステム改修の工程も削減できるため、プロジェクト全体のコストを大幅に削減できます。
現在取り組む予定のない機能に関しては、段階的に進められるようライセンスが分かれているため、使いきれない機能を抱え込む心配もありません。お金と時間的余裕がなく、なかなかDX化が捗らない企業にとっては大きなメリットだといえるでしょう。
100社100様に対応できる柔軟性
実績班長の導入には、製造現場経験のあるコンサルタントと経験豊富なエンジニアが全力でサポートしております。リアルな現場の声を理解し、各企業の抱える問題を自らの経験に照らし合わせて提案できるため、多様なアプローチが可能になります。パッケージ製品でありながら、柔軟なカスタマイズを提案できるのは実績班長の最大の特徴だといえるでしょう。
まとめ
製造業におけるDX化について、その意図や成功事例について紹介してまいりました。実績班長はこれまでもさまざまなニーズを抱える企業様と共に現場のDX化を成功させてきました。ご紹介した事例でもわかる通り、大切なのはDX化をすることで企業にもたらされるメリットを組織全体がどれだけ理解しているかでしょう。
実績班長では、IT人材不足をカバーすべく現場を知るスタッフが全力でサポートしております。より良いサービスを提供するために、共に伴走してくれるパートナーをお探しの方はお気軽に実績班長にご相談ください。