新型コロナウイルスの流行で海外からの部品調達がストップするなど、経営に大打撃を受けた企業も多い「製造業」。本記事では、日本の製造業の現状や、課題としてどのようなものがあるのかなどを詳しく解説します。また、今後の製造業にDXが必要な理由や実績班長の導入事例についてもご紹介します。製造業の現状や課題、DXや実績班長について調べている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
日本の製造業の現状
日本の製造業の現状は、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今まで以上に厳しい状況です。令和2年5月に経済産業省などから発行された「2020年版ものづくり白書」では、総論として「不確実性に対応するためには、製造業の企業変革力を高める必要がある」と伝えています。少子高齢化や新型コロナウイルスの流行などの影響で製造業の市場やニーズに変化が生じてきていることから、対応策として企業変革力が求められているのです。
日本の製造業の現状をもう少し詳しく知るために、以下4つの動向について、詳しく解説します。
- 業績の動向
- 設備投資や環境
- 世界の不確実性
- 人材
現状や動向については製造業の課題にも繋がる内容なので、しっかりと把握していきましょう。
業績の動向
製造業の業績動向は、経済産業省が発行した2020年6月の「製造業をめぐる動向と今後の課題」の資料によると、2020年1~3月期のGDP成長率は2四半期連続でマイナス成長となっています。営業利益の推移については、2017年は17.3兆円に上っていたものの、2019年は12.5兆円にまで落ち込んでいると発表されています。
さらに、2020年に起きた新型コロナウイルスの流行により、自動車部品の輸入がストップするなどサプライチェーンの寸断の影響を受け、製造業の業績は悪化の一途を辿りました。しかしながら、ワクチン接種済みの人が増えたことや感染防止策の徹底などが功を奏し、緊急事態宣言の解除などを受けて日常が戻りつつあるにつれ、製造業の業績も回復傾向にあると見られています。
設備投資や環境
経済産業省によると、製造業の設備投資の動向は回復傾向にありましたが、2019年を境に横ばいであると発表されています。また、生産設備導入からの経過年数を調査したところ、長期化傾向にあることがわかり、設備の老朽化が懸念されています。
新型コロナウイルスの影響で経済の見通しが不透明なことから、2020年は設備投資を見送った企業が少なくありませんでした。しかし、帝国データバンクの意識調査によると2021年度に設備投資を計画している企業は58.0%であり、前年度と比較すると増加傾向にあることがわかっています。
政府が打ち出している新型コロナウイルスへの対策補助事業が、設備投資支援を推進していることも後押しとなっているようです。設備投資を行う企業が増えることで、今後は製造業を取り巻く環境にも変化が見えてくることでしょう。
※参考資料:帝国データバンク│2021年度の設備投資に関する企業の意識調査
世界の不確実性
「2020年版ものづくり白書」によると、米中貿易摩擦や新型コロナウイルス感染症の拡大などによる世界の不確実性の高まりが製造業に大きな影響を与えていると発表されています。
日本の製造業は、中国など海外から製品作りに欠かせない部品や素材などを調達する「サプライチェーン」で成り立っています。米中貿易摩擦により顧客からの受注が減少したり、新型コロナウイルスの流行では部品などの素材が届かず生産に支障が出たりといった影響がありました。
また、日本においては地震や台風などの自然災害も要因の一つとなっており、災害によって起こるサプライチェーン寸断のリスクが懸念されています。
人材
製造業に限らず他の業界も同様に、人材不足の問題は深刻化している状況です。中小企業の製造業では人材不足に加え、後継者問題も浮き彫りとなっています。
人材不足は慢性化しており、その原因の一つに少子高齢化が挙げられます。少子高齢化に伴い労働者人口は減少傾向にあるため、人材不足を解消する目途はどの業界においても立っていないのが現状。後継者についても同様で、経営者だけでなく、技術者の後継も社会構造的な問題となっています。
人材や後継者不足の問題は経営にも大きな影響を与えるため、未来を見据えるうえで喫緊の課題だといえるでしょう。
日本の製造業の課題
日本の製造業の主な課題として、以下の3点が挙げられます。
- 【日本の製造業の課題】
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- 人材不足への対応
- ITの活用
- グローバル競争に負けない戦略
人材不足への対応
大企業も中小企業も製造業だけでなく、他の業界においても人材不足への対応が課題として挙げられています。「2020年版ものづくり白書」によると、2002~2019年の約20年間で製造業就業者数が11.6%も減少していることがわかりました。
製造業への就業者数の減少が続く中、各企業は人材不足への対応として外国人や女性の雇用を強化している他、就業者の離職を防ぐための取り組みの一環として手厚い福利厚生を掲げるなどの対策を講じています。
また、DX化も人材不足への対策の一つとして取り上げられており、工場などの現場において人材不足の解決に大いに貢献する対策だといえるでしょう。
ITの活用
製造業に限ったことではありませんが、日本は海外に比べITの活用が遅れているといわれており、ITの活用も課題です。また、経済産業省が警告を促している「2025年の崖」では、レガシーシステム(システムの老朽化や複雑化など)によってDXの実現が難しくなり、2025年以降の経済に多額な損失が生まれるのではないかといった懸念も課題として挙がっています。
DXはデジタル・IT化と混同されることがありますが、デジタル・IT化はITシステムの導入やペーパーで管理されている情報をデジタル化すること。DXは、それらをもとに品質向上やビジネスモデルの変革などを行うことです。
IT活用の課題解決に向け、各企業の取り組みとしては情報のデジタル化やIoTの導入が始められており、デジタル技術を活用してDX化を図っています。しかしながら、ITの活用化が進んでいる製造業の企業はまだまだ少ないのが現状です。
グローバル競争に負けない戦略
グローバル競争が課題となっている業界は多いですが、製造業も新興国の発展に伴い低価格競争などが起こり、グローバル競争は年々激しくなっているのが現状です。グローバル競争に負けないために、生産スピードやコスト削減、オリジナリティのある製品作りが必要とされています。
グローバル化を加速しグローバル競争に負けないための戦略として、各企業が現地生産によるコスト削減や販路の拡大などに取組んでいます。また、新たな分野への進出も視野に入れたM&Aや異業種との業務提携も戦略の一つとして取り組み始めています。
未来の製造業にDXが必要な理由
製造業の現状や課題について解説してきましたが、課題の解決には経済産業省が推進しているDX化が有効です。DXとは、「デジタルトランスフォーメーション」の略。DX化することにより、サプライチェーンの寸断に対して柔軟に対応できるようになるなど、製造業の現状を変えられる可能性を秘めています。
その他にも、未来の製造業にDXが必要な理由として下記の点が挙げられます。
- 【未来の製造業にDXが必要な理由】
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- サービスや製品の価値が向上する
- 人材の不足によるリスクを回避する
- 2025年の崖で懸念されているレガシーシステムを回避する
- グローバル競争力が向上する
- 生産性が向上する
経済産業省が定めているDXの定義は、以下の通りです。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
引用元:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインVer.1.0
DX化により、製造業の現状や抱えている課題に対して素早い変革ができるようになるため、人材不足によるリスクの回避などが可能。世界的な不確実性の高まりに対応するためにも、製造業にはDX化が必要なのです。
製造業DXは実績班長がおすすめ!
未来の製造業にはDXが必要である旨を解説してきましたが、DX化するにはどうすればいいのか悩む企業が多いのが現状です。そこでおすすめなのが、実績の収集やIoTでデジタル化するなど製造業の現場を支援するための機能が備わっている「実績班長」の導入です。
- 【実績班長が製造業DXにおすすめの理由】
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- 豊富な実績収集機能
- IoTの導入
- コスト削減
- 課題に合わせた導入が可能
豊富な実績収集機能
実績班長は、「100社100様の現場に対応するための豊富な実績収集機能を保有」している点が特徴です。例えば、連続生産の実績収集機能を使用することによって生産完了前に途中出来高を計上することが可能になるなど、現場の進歩管理がスムーズになるといったメリットがあります。
その他にも、人的作業の実績収集や在庫や品質管理など豊富な実績収集機能を装備。実績収集を行うと現場の動きを見える化できるため、意識改革や品質向上など製造業のDX化に貢献します。
IoTの導入
実績班長の優れた機能として、「古い設備も新しい設備もIoTでデジタル化」できる点も挙げられます。古い設備からのデータ収集は難しい場合がありますが、実績班長なら多様なセンサーと連携できる専用ツールがあるので、データを収集してデジタル化することが可能です。
実績班長を使ってIoTを導入することで、属人化しているノウハウをデータ化する、また設備の稼働状況をリアルタイムで把握できるなどの効果が得られます。
製造業のDX化には、IoTの導入が欠かせません。実績班長なら古い設備のデジタル化も可能なので、IoTの導入がスムーズにできます。
コスト削減
基幹システム「ERP」や生産管理などのシステムを導入するためには、システムを構築するために高いコストが必要です。しかし、実績班長は低コストで最適なシステムを導入することが可能なため、コスト削減が可能。実績班長を導入してERPを連携すると、以下のようなメリットが得られます。
- 【ERPと連携できる実績班長を導入するメリット】
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- 可視化が可能になりリアルタイムで現場の情報が把握できる
- 改善活動の実現がスムーズにできる
- デジタル化の実現でペーパーレスとなり作業が楽になる
上記のメリットが得られることにより、製造業のDX化がスムーズに進むでしょう。
課題に合わせた導入が可能
実績班長は製造現場に特化したシステムであるため、製造業におけるさまざまな課題に合わせて最適なシステムを導入することが可能。例えば、進捗の悩みがある場合は進捗を可視化することで課題を解決します。在庫の悩みであれば、在庫管理機能を導入することで毎月数時間掛かっていた棚卸が楽になるなど、作業効率の改善も可能です。
実績班長はタブレット1台で現場のすべてをデジタルで見える化できるため、DX化に必要な変革をもたらすことができます。
また、作業者管理や工程管理など自社の課題に合わせてシステムを導入することができるため、導入コストを抑えながらDX化を進めることが可能です。
実績班長の導入事例
製造業のDX化には「実績班長」の導入がおすすめである理由をご紹介してきましたが、実際に導入した企業がどのような効果がもたらされたのか気になる方も多いでしょう。そこで、実際に実績班長を導入した事例を3つご紹介します。
導入事例1:株式会社プラセス
- 【導入前の課題】
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- レイアウト変更に対応したい
- 担当者や人員配置変更によるプログラム変更にかかる手間を削減できるシステムにしたい
- より詳細なデータを取得することで、異常を品番単位で見える化できるようにしたい
- 【導入した機能】
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- 進捗管理
- 原価管理
- IoT
- 品質管理
株式会社プラセスは実績班長の機能を導入することで、ワイヤレス通信でレイアウト変更時の配線の手間を削減、金型命数を管理しメンテナンス時期の見える化を実現しました。オペレーションに実績班長を組み込み、流出欠陥ゼロを実現できたとのことです。
導入の決め手となったポイントは、「現状の課題を解決できる仕組みだと判断できたから」。また、プラットフォームが出来上がっているため導入イメージが容易だった点も、導入の決め手になったそうです。
導入事例2:株式会社府中テンパール
- 【導入前の課題】
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- パッケージシステムの利用で費用を抑えたい
- 部品の組立工場において段取り替えにかかる時間の把握を可能にしたい
- 売上に対する実工数を見える化してコスト分析を行うためのデータを取得したい
- 【導入した機能】
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- 進捗管理
- 原価管理
- IoT
- 品質管理
実績班長を導入して実現した効果として、低コストでのシステム導入とパッケージならではの仕組みの簡易さを挙げています。また、紙の日報からタブレット操作に切り替えデジタル化したことで、オーダーに紐づいた正確なデータ収集ができるようになったことが一番大きな成果でした。
導入の決め手は、「段階的な導入が可能なパッケージであることに魅力を感じたこと」。また、他社から提案されたスクラッチ開発に比べて低コストで導入できる点も選定要因になったようです。
導入事例3:アサヒ飲料株式会社 群馬工場
- 【導入前の課題】
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- 現場の社員の声が反映されたシステムにしたい
- 品質向上プロジェクトの一環として伝票が電子化できるシステムにしたい
- 手書き作業による記録遅れ等の発生を徹底的に防ぐことができるシステムにしたい
- 【導入した機能】
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- 品質管理
導入した機能は「品質管理」のみ。それにもかかわらず、実現できた効果は、電子化による入力文字の読み間違い防止やチェック・記録遅れの大幅な削減、予防保全としての大きな役割や現場からの反発がないシームレスなシステム導入の実現など多岐にわたります。
実績班長を導入する決め手となったのは、あらゆるデータを電子化するという全社的な動きがあり、ヒトが行う作業記録の電子化もできる点だったそうです。
まとめ
製造業の主な課題には、人材不足をはじめITの活用化やグローバル競争に負けない戦略の3つがあることを解説してきました。経済産業省は「2025年の崖」を懸念しており、解決策として製造業のDX化を推進しています。
また、製造業のDXには「実績班長」の導入がおすすめである理由についてもご紹介しました。低コストで素早く簡単に導入できるので、DX化を目指している製造業の方はぜひご検討ください。