経済産業省が製造業の重要課題の1つに挙げている「強い現場力の維持・向上」。実際に「現場力」は製造業で重視される言葉ですが、その意味を正確に理解し、具体策を講じている企業は少ないかもしれません。
そこで今回は、現場力の意味、現場力向上の重要性、取り組み事例、現場力を高めるポイントを解説。現場力強化に役立つ製造実行システム「実績班長」もご紹介します。
目次
現場力とは
現場力とは、一般的に「企業活動の現場において発揮される問題解決能力」を指すことが多いです。
ものづくり白書(2018年版)のレポートにおいては「一義的に定義することは困難」とした上で、現場力を以下のように仮定しています。
- 【現場力とは】
- 「暗黙知や職人技」をも駆使しながら、問題を「発見」し、企業や部門を超えて「連携・協力」しながら課題「解決」のための「道筋を見いだせる」力
現場力は、業種や分野を問わず、あらゆる企業で求められる力ということができるでしょう。
製造業における現場力向上の重要性
業種や分野を問わず、あらゆる企業で求められる現場力ですが、製造業においては特に重要な力ということができます。
例えば、以下の調査結果を見ると「製造・量産」の工程で現場力が特に発揮されていることがわかります。
出典:経済産業省「我が国ものづくり産業が直面する課題と展望 第2章」
現場力が発揮される工程として「製造・量産」を挙げた割合はおよそ60%と、断トツ1位になりました。
近年、国内の製造業は人手不足が深刻化しています。その状況下で顧客ニーズに応え、品質管理しなければならないため、製造現場で働く個々人の「現場力」がより求められているのです。調査結果では、そのような背景が反映されたと考えられます。
製造業の現場力を高めるためのポイント
製造業の現場力を高めるためには、以下4つのポイントが重要です。
- 現場全体の業務の可視化
- 現場でのミッション・ビジョンの共有
- 現場のコミュニケーションの活発化
- 人材育成への注力
製造業の現場力を高めるためのポイントは一言で「業務を見える化し、情報共有やコミュニケーションをしっかりと実施した上で、個々人の能力向上を目指す」ということができます。
ここからは各ポイントについて、詳しく見ていきましょう。
現場全体の業務の可視化
業務の可視化は「業務における課題抽出」そして「業務標準化」の達成に欠かせません。
業務標準化が達成できれば、業務の属人化解消にもつながり、現場力向上につながることが期待できます。
また、業務標準化は、ロボットやIT・DX、IoTの導入に際しても不可欠なプロセスです。
実は、 ものづくり白書(2018年版) で紹介されているアンケート調査(製造の現場力の強み、製造の現場力の維持・向上に関する課題)のおいても「製造業界の多くの企業が、ロボットやIT、IoTの導入・活用力を大きな課題と認識しているにも関わらず、実際には充分に導入・活用されていない」との結果が出ています。
なお、業務を可視化するためには、以下のポイントを実践しましょう。
- 経験や勘に頼っていた業務フローを明文化する
- 可能な限りデータや数値で示す
- 現場が抱える課題や問題を明らかにする
- 必要に応じて、可視化に必要なシステムを導入する
現場でのミッション・ビジョンの共有
現場力を発揮するためには、企業のミッション・ビジョンが従業員にしっかりと共有されている必要があります。
ミッション・ビジョンは「業務の意味や目的」であり、従業員の働く意欲(モチベーション)にも直結しているからです。
現場でのミッション・ビジョンの共有のためには、以下のポイントを実践しましょう。
- 現場のコミュニケーションを活発化する
- ミッションの達成・ビジョンの実践におけるインセンティブを検討する
- ミッション・ビジョンの共有/浸透のためのワーキンググループを発足する
現場のコミュニケーションの活発化
仕事の現場はチームプレーであるため、コミュニケーションの活発化は現場力の向上に寄与します。
具体的には「円滑な意思疎通で問題解決がしやすくなる」「現場の課題が早い段階で抽出できる」といったメリットが期待できます。
現場のコミュニケーションの活発化のためには、以下のポイントを実践しましょう。
- 1on1ミーティングを実施する
- ブラザーシスター制度・メンター制度を作る
- 様々な社内イベントを用意する
- 朝活や部活、サークルなどを設ける
人材育成への注力
現場力を発揮するのは、働く個々人であるため、人材育成は業種・業界を問わず重要です。
特に、製造業では「技術継承」の観点から、人材育成の重要性が非常に高いと言えるでしょう。
実際に、ものづくり白書(2018年版)で紹介されているアンケート調査(製造の現場力の維持・向上に関する課題)のおいても「熟練技能者の技能(継承)」という回答がトップになっています。
なお、円滑な人材育成を実現するためには、以下のポイントを実践しましょう。
- 勉強会などナレッジ共有の場を積極的に作る
- ナレッジ共有ツールを使う
- 若手とベテランがしっかりとコミュニケーションを取る
- ベテランの業務実績をデータ化する
- 業務標準化を進める
現場力を強化するなら「実績班長」がおすすめ
「実績班長」は、リアルタイムな情報収集を通じた、現場の見える化を実現する製造実行システムです。
現場力強化に「実績班長」をおすすめする理由は以下の通りですが、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 現場力の強化に実績班長がおすすめの理由
-
- 現場全体の業務が可視化できる
- 離れた工場の稼働状況が分かる
- ベテランのデータからノウハウを分析できる
現場全体の業務が可視化できる
「実績班長」の大きな特徴は、既存設備を入れ替え・改造をせずに「生産現場がIoT化できること」です。
つまり、現在の現場を変えることなく、各種データを取得して、現場や業務の全体像が可視化できます。
「実績班長」は必要な機能を絞って導入できるため、現場力強化に欠かせない「現場全体の業務の可視化」を、無理なくスピーディーに実現することが可能です。
離れた工場の稼働状況が分かる
「実績班長」は、複数の拠点で導入・使用することができます。
複数の取得したデータは一元管理できるため、離れた工場の稼働状況もリアルタイムで分かるようになります。
これにより、管理者の作業負担を軽減しつつ、各拠点における現場力低下の予兆を早めにキャッチし、適切な対策を講じることが可能です。
ベテランのデータからノウハウを分析できる
「実績班長」は、作業者ごとの設備稼働データを秒単位で収集することが可能です。
これによりベテラン作業者の設備設定や、湿度や温度に合わせた設定変更などを記録し、ノウハウをデータ化(可視化)することができます。
データ化したベテラン作業者のノウハウを、教育研修や技術継承などに活用することで、現場力向上に不可欠な「個々人の能力アップ」につながります。
実績班長の導入事例
「実績班長」の導入で現場を可視化し、現場力向上に寄与する業務効率化の成果を得た企業は数多くあります。
最後に「実績班長」の導入事例を見てみましょう。
導入事例:東レ・モノフィラメント株式会社
業種 | 繊維事業ほか |
---|---|
サービス内容 | ナイロン、ポリエステルをはじめ、各種合成繊維モノフィラメント、モノフィラメントを素材とする高次加工製品などの製造販売 |
- 【導入前の課題】
-
- 製造現場のトータルな状況把握が難しい
- 自社開発システムにおける諸問題(老朽化、ブラックボックス化、後継者問題など
- 【導入後の効果】
-
- 製造の全工程・在庫のデータを可視化
- 製造現場全体をリアルタイムで把握
- リアルタイム在庫管理で棚卸業務が軽減
- 部署移動時のオペレーション教育が不要に
モノフィラメントをはじめとする数々の素材の研究開発をおこなう東レ・モノフィラメント株式会社。自社開発システムの使用継続に限界を感じ「実績班長」を導入しました。その結果、課題であった「製造現場全体の可視化」を達成し、現場の状況をリアルタイム把握が可能になったことから、棚卸業務の作業負担も軽減。システム一元化により、部署異動の際のオペレーション教育も不要となるなど、数々の業務効率化が実現しました。
まとめ
日本の大きな強みである「ものづくり」。製造業は現在、人手不足など厳しい状況に置かれていますが、そんな状況だからこそ現場力の重要性が際立っています。
ただし、働き方改革の推進などもあり、マンパワーに頼り切ることに限界が生じていることも事実です。そんな時は「実績班長」などのツールを導入することで、現場力向上に役立つ環境を整備することができます。「実績班長」なら、必要な時に必要な機能だけ導入できますので、ぜひ現場力強化にご活用ください。