導入の経緯

どのような課題を解決するために導入されたのでしょうか？

小林様：以前は、自社開発システムを使用し、部署ごとで独自のデータ管理を行っていた為、製造現場全体での状況把握が困難な状況でした。また、原価計算に関わる情報の把握にも時間が掛かっていました。自社開発システムは、AccessやExcelで作成した為、脆弱性の問題もあり、システムとしての安定性や信頼性に不安がありました。

自社開発システムを構築してから、長い年月が経ち、システムの老朽化やブラックボックス化の他に、メンテナンスする後継者がいないという問題も加わり、将来的に自社開発システムを使用し続ける事に限界を感じていました。そこで、新たにシステム再構築プロジェクトが立ち上がり、検討を開始しました。

プロジェクトの範囲と立ち上げからシステム導入まで、どれくらいの期間がかかったのでしょうか？

小林様：プロジェクトの範囲は、基幹システムであるERPの導入と、製造現場に関連する自社開発システムのリプレースが対象となりました。2018年頃に検討を開始し、コンサルタントを交えて事前調査を行い、2019年10月にプロジェクトを開始しました。最初に現場へのヒアリング実施と要望の整理を行い、基本設計・開発・検証を経て、2021年10月にシステム本稼働しました。

導入のポイント

導入を決定された理由・決め手についてお聞かせください。

小林様：検討当初は、ERPのみの導入を考えていましたが、当社の生産管理の重要ポイントを満たすには、ERPの標準機能だけでは実現が困難な事が判明しました。また、ERPで重要ポイントを実現する為のカスタマイズを行う場合、膨大な費用が掛かる事が想定され、導入後に仕様変更・機能追加した場合、費用面も含めて柔軟で俊敏な対応が困難になる事も想定出来ました。

そこで、ERP導入と合わせて、製造実行システム（MES）も導入する事に決定しました。結果として、ERPとMESを分ける事で、ERP本体のカスタマイズ要件を減少する事が出来ました。

MES選定時のポイントと実績班長に決定した理由をお聞かせください。

小林様：選定時のポイントは、MESの基本機能を有している事と、カスタマイズ対応の柔軟性や、費用面での納得感がある事などが主なポイントでした。実績班長に決定した理由は、別システムと比較検討した上で、機能面で優れている事（例：在庫管理を有していた等）や、カスタマイズの自由度が高い事、価格面での優位性が決め手となりました。

導入まではスムーズに進行したのでしょうか？

小林様：導入範囲が広かった為、細かな仕様を詰めるのに想定以上に時間が掛かりました。また、製糸業界特有の在庫管理やトレーサビリティの難しさをシステム上でどう実現するかの検討にも時間が掛かりました。その結果、テストでの動作検証時に一部想定とは異なる動作をしたり、ERPとの連携が上手くいかないケースがありましたが、テクノシステムとERPベンダーと共に、一つずつ課題を解決する事で無事に本稼働する事が出来ました。なお、タブレットを初めて使う作業者も多かった為、最初はオペレーション教育が大変でしたが、テクノシステムから丁寧な操作説明資料の提供と、各部署や担当ごとに合わせた操作説明を行って頂いた為、大きな混乱はありませんでした。

▲現場での使用風景

「実績班長」の導入による成果についてお聞かせください。

小林様：製造現場全体のデータを１つのシステム（実績班長）で可視化し、リアルタイムに状況が把握可能となった事が大きな成果と考えています。これにより、原料から製品になるまでの全過程を俯瞰的に可視化できる様になり、「どこにどの材料があって、どの製品がいつ出来上がるか」をリアルタイムに把握出来る様になりました。

導入の効果がわかる、具体的な事例などがあれば教えてください。

小林様：一例ですが、棚卸業務について、これまで仕掛品等は、毎月の実地棚卸で在庫把握しており、日々の在庫管理が出来ていませんでした。実績班長導入後は、仕掛品等もリアルタイムに在庫把握が可能となった為、棚卸業務がデータとの突合せとなり、ミスの軽減や、作業時間の削減につながりました。



▲タブレットを活用して全体をリアルタイムに把握

「実績班長」が業務にもたらす価値について、どう評価されていますか？

小林様：実績班長で製造現場全体のデータを実績班長で可視化し、リアルタイムに状況が把握可能となった為、棚卸業務の作業負担の軽減だけでなく、その他の作業負担の軽減や、業務効率化、改善活動の基盤が出来上がった事が大きな価値だと考えています。

「実績班長」を紹介するとしたら、どのような会社でしょうか？

小林様：「実績班長」はMESの基本機能を有している上で、カスタマイズの幅が広く、自由度が高いのが大きな魅力だと思います。制約も少ないので、業種を問わず使えると思います。

「実績班長」で業務を改善されている中、今後の展開をお聞かせください。

小林様：実績班長で収集したデータを基にした、業務分析や改善活動への活用を考えています。また、設備への製造条件指示や、品質データを管理する自社開発システムがある為、今後実績班長に組み込む事を予定しています。将来的には実績班長を製造現場のトータルシステムとして活用していきたいと考えています。