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COLUMN実績班長のコラム

2023.04.07

管理職の残業時間に上限規制はある?管理監督者との違いや労働時間を減らす方法

働き方改革が進んだ昨今、一般従業員の労働時間は減少したものの、業務量は変わらないため労働時間に規制のない管理職の残業が増えて困ってはいないでしょうか。

今回は「管理職の残業を減らしたい」と考えている企業の担当者に向けて、管理職と管理監督者の違いから労働時間を減らす方法まで、管理職の残業時間について詳しく解説します。

管理職の残業時間に上限規制はある?

管理職とは、企業内で一定の権限をもち、部下の管理や組織の目標達成に向けた指揮監督を担っている役職です。

「管理職」は企業内で一般的に用いられる呼び方であり、労働基準法では「管理監督者」と呼ばれます。混同されてしまうケースも多くありますが、厳密にいうと、「管理職」と「管理監督者」は同じではありません。

管理監督者の定義については次章で詳しく触れますが、ここでは管理監督者の残業における上限規制や賃金、法改正などについて解説します。

独立行政法人労働政策研究 ・ 研修機構が2021年7月に発表した「管理職の働き方に関する調査」によると、管理職の労働時間は月平均177.4時間、残業時間は月平均19.5時間だとされています。また、係長クラスから支社長等クラスまで役職による残業時間に大差はないこともわかりました。

管理監督者の労働時間は上限規制なし

原則として、管理監督者には労働時間の上限規制がありません。

一般の労働者に対しては、労働基準法により労働時間は「1日8時間、1週間40時間」と上限が定められています。36協定を結ぶことで「月間で最大45時間、年間で最大320時間」の時間外労働を行わせることが可能ですが、過酷な労働にならないように上限が定められているのです。

しかし、管理監督者とされている労働者は労働基準法による規制を受けないため、労働時間・時間外労働時間に上限規制がないといえます。

管理監督者に残業代は出ない

管理監督者には労働時間や時間外労働に上限規制がなく、割増賃金支払いの義務も適用されないため、残業代は支給されません。つまり、「管理監督者は制限なく働けるものの、どれだけ働いても残業代は出ない」ということです。

こうした決まりを逆手にとり、形式上は役職につかせて管理監督者としていても、実際は一般労働者と同じ業務を課して酷使する「名ばかり管理職」が横行し、一時期は社会問題にもなりました。

管理監督者であるにもかかわらず、一般労働者と同じ業務を課される「名ばかり管理職」には、いくら残業しても残業代は支給されません。労働の実態を把握せずに長時間労働を強いられた結果、過労死や訴訟にいたる事態に発生することもあったのです。

法改正に基づき、労働時間の把握が義務化

2019年4月の働き方改革関連法施行で、一般労働者の時間外労働が制限されたために部下の業務をカバーする必要があり、さらに管理職が長時間労働を強いられる恐れもありました。

こうした背景から労働安全衛生法が改正され、これまで「行うことが望ましい」程度だった管理職の労働時間の把握は義務化されたのです。

さらに、「労働時間の把握をする労働者の対象に管理監督者は含まれる」との通達が出されているため、企業は管理監督者の労働時間も把握しなければなりません。

参考:
労働基準法|e-Gov法令検索
労働安全衛生法の改正について|厚生労働省
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について|厚生労働省労働基準局長

法律上の管理職とは

「管理職」は企業内で一般的に用いられる呼び方であり、労働基準法では「管理監督者」と呼ばれます。厳密にいうと、「管理職」と「管理監督者」は同じではありません。

労働基準法で定義される「管理監督者」とはどのような労働者なのか、改めて確認しておきましょう。

管理職と管理監督者の違い

「管理職」に厳密な定義はなく、「係長以上が管理職」「課長以上が管理職」といったように、どの役職を管理職と呼ぶかは企業によって異なります。

一方、「管理監督者」の定義は労働基準法で明確に示されています。労働基準法第41条によると、管理監督者とは、「経営者と同じもしくはそれに近い権限をもっており、自分の裁量で就業時間を決定し、給与などの面でその役割にふさわしい、一般社員とは明らかに異なる待遇を受けている労働者」を指します。

部下の有無、課長や部長などの役職名にかかわらず、労働の実態を考慮して管理監督者にあたるかを判断する必要があるでしょう。

管理監督者の判断基準

管理監督者にあたるかどうかは、「職務内容」「責任と権限」「勤務形態」「賃金(待遇)」の4つの基準で判断されます。それぞれ具体的に見ていきましょう。

項目 判断基準
職務内容 労働時間などの枠を超えて活動しなければならないほど、重要な職務を担っているか
責任と権限 経営者と一体的な立場で経営にかかわる意思決定に関与するなど、職務に大きな責任と権限をもっているか
勤務形態 緊急の経営判断が求められる場合に、休日や勤務時間に関係なく業務を遂行する必要があるような立場にあるか
賃金(待遇) 職務の重要性に伴い、一般の労働者に比べて給与や賞与などにおいて相応の待遇を受けているか

管理監督者の勤怠管理をする際の注意点

働き方改革による法改正により、管理監督者についても労働時間の把握が義務化されました。管理監督者は労働基準法における一部の規定が適用対象外となるなど複雑な部分があるため、管理監督者の勤怠管理をする際には注意しなければなりません。

管理監督者の勤怠管理において、労働基準法が適用される範囲は以下のとおりです。

項目 適用の範囲
法定労働時間 適用対象外。法定労働時間を超過しても残業代は支給されない
法定休日 適用対象外。休日出勤をしても割増賃金は支給されない
休憩時間 適用対象外。休憩を与えなくても理論上は問題ない
深夜労働 適用。22時〜5時の労働には割増賃金が支給される
有給休暇 適用。勤続期間に関する一定の条件を満たせば有給休暇が付与される

参考:
労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために|厚生労働省
労働契約法|e-Gov法令検索
労働安全衛生法|e-Gov法令検索

管理職の残業時間を減らす方法

管理職の残業を減らすためには、どうすればいいのでしょうか。具体的なポイントを解説します。

  • 組織風土の意識改革
  • 業務状況の把握
  • システムの導入による業務効率化

組織風土の意識改革

古くから日本の企業に根づいている「長時間労働をして当たり前」「残業をする人が偉い」といった組織風土を、まずは変えていく必要があります。特に管理職世代はこうした風土で働いてきた人が多いため、残業する必要がない日は定時で帰ることが当たり前の雰囲気にしていくことが大切です。

また、残業削減に向けて社員の意識統一を図ることも効果的でしょう。目先の忙しさに囚われて目的を意識できていないケースもあります。「なぜ残業を削減しなければならないのか」、「残業を削減するとどのようなメリットがあるのか」など管理職を含めたすべての労働者に説明し、意識改革を図ることも重要なポイントです。

業務状況の把握

管理職の残業を減らすためには、管理職の勤務状況を把握する必要があります。管理職が「どのような内容の業務をどのくらい抱えているのか」など、業務状況をしっかりと把握することで、管理職の負担を軽減するための対策を講じることができるでしょう。

業務状況を把握するためには、上司と部下が1対1で定期的に対話を行う「1on1面談」や、管理職も対象に含まれている「産業医面談」などで管理職労働者の本音を引き出すことが重要です。業務のどのような点に悩んでいるのか聞き出し、どのような支援ができるかを具体的に考え、実行していきましょう。

また、管理職の労働時間を正しく把握するためには、勤怠管理システムの導入も効果的です。パソコンなどのログインからログアウトまでの時間や、ICカードを搭載した社員証で入退室時刻を記録するシステムを導入すれば、自己申告に頼らず正確な労働時間を把握できるでしょう。

さらに、「タイムカードと併用して入退室記録を取る」、「パソコンのログと入退室記録両方を取る」などダブルチェックができる仕組みを取り入れるとより効果的です。

システムの導入による業務効率化

「一般労働者の労働時間が減少したことで管理職にしわ寄せがきている」場合、管理職の業務量を減らすためには、社内全体の業務効率化という根本的な改善を行う必要があります。他の人でもできる仕事は権限を移譲し、管理職にしかできないマネジメントなどのコア業務に集中できる環境をつくることが理想的でしょう。

誰がやっても問題ないにもかかわらず特定の人しかできない仕事があると、負担が偏り、結果的に管理職がカバーに入るため、残業が増える原因となります。従業員それぞれの業務内容を洗い出し「業務の見える化」を行えば、チーム全体へ適切に采配でき、業務を効率化できるでしょう。

「見える化」して業務効率を上げるためには、システムの導入が効果的です。「実績班長」のようなシステムを活用することで業務や作業量を可視化し、従業員一人ひとりの業務をリアルタイムで把握できるようになります。その結果、業務の適切な割り振りや業務効率化にもつながるでしょう。

業務を効率化して残業を減らすならシステム「実績班長」がおすすめ

製造業の業務効率化を実現するためには、製造業のさまざまな課題を解決できる「実績班長」の導入がおすすめです。

「実績班長」は、製造業の現場に特化した製造実行システムで、あらゆる情報を収集する機能が豊富に備わっています。進捗管理や品質管理、労務管理や在庫管理などさまざまな機能があり、解決したい課題や目標などに合わせて必要な機能だけをピックアップできるため、低コストでの導入が可能な点も魅力の一つです。

「実績班長」を導入すると、残業の削減に役立つ「見える化」や「日報のデジタル化」が可能になります。

実績班長では、「多台持ち作業」や「複数人同時作業」といったものづくりの流れに合わせて、たった4ステップで実績収集が可能です。収集したデータを「見える化」し、リアルタイムの進捗を把握できます。

また、タブレットをタッチするだけで時間や数値を入力することなく簡単に日報データを作成できるため、現場の負担を軽減しながらも正確な作業時間や数値をリアルタイムで把握できます。ものづくりだけでなく間接作業に関わる時間も簡単に把握できるため、全体の業務効率化につながるでしょう。

導入事例:株式会社ヨロズ

「実績班長」の導入により、実際に業務効率が上がった事例を紹介します。

業種 製造業(自動車・農業機械部品)
サービス内容 自動車部品(サスペンション)を中心に、ボディなどの基幹部品や、トラクターのフレームなどの農機具を製造
【導入前の課題】
  • 作業実績を得るのに一日遅れ
    リアルタイムに状況を把握できず、情報を集めるのに工数がかかっていた
  • 入力の精度が上がらないことから、実際の在庫数と旧システム内で管理されている
    在庫数にずれが生じ、仕事の効率化につながらない状況だった
【導入後の効果】
  • 管理監督者の作業時間を30分から60分ほど短縮!
  • 空いた時間で生産現場に立つ機会が増え、管理監督者が自分のラインを実際に見て回るという意識が浸透

「実績班長」は、管理監督者である係長やリーダーが、自分のパソコンを通じて担当する生産ラインの状況を把握できます。さらに、画面をラインの数に合わせて16分割にして、全体を一覧で見られる機能も便利で、どのラインが順調に稼働しているのか、あるいは設備に不具合が生じて停止しているのかをその場で確認可能です。

同社は、これまで現場に出向いて確認する必要があったのに対し、持ち場を離れず他の業務を続けられるようになったため、業務効率化につながりました。

まとめ

今回は管理職の残業時間について解説しました。管理職の残業時間を減らすためには、企業全体の業務を効率化し、管理職の業務量を減らすことが大切です。

製造業の業務効率を上げるためには、「実績班長」のようなシステムの導入がおすすめです。労務管理をはじめ、ものづくり企業のさまざまな課題を解決できるこのシステムをぜひ導入してみてはいかがでしょうか。

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