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COLUMN実績班長のコラム

2023.05.15

歩留まりの意味とは?歩留り率の計算・改善方法についても説明

「歩留まり(ぶどまり・budomari)」という考え方は、さまざまな業種に採り入れられています。とくに製造業においては、歩留まり率とその内容が利益に直結するため、非常に大切な指標となります。しかし、言葉は知っていても内容までは詳しく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、歩留まりの意味合いと計算方法について解説します。改善方法についても記載していますので、企業の設備担当者の方は、最後までご一読いただき参考にしてみてください。

歩留まりの意味とは

製造業においての歩留まりとは、原料に対する完成品の割合といった意味合いで使われます。また、歩留まりをパーセンテージで表した数字が「歩留まり率」です。

歩留まりという言葉は、製造業だけではなく多くの業界や業種でも使われ、それぞれによって多少意味合いが異なります。

歩留まりの語源は、「歩(ぶ)がいい・悪い」で使用される「歩」から来ています。「歩」とは自分の取り分のことです。自分の取り分=歩が留まるという意味で「歩留まり」と表されるようになりました。

製造業においては、歩留まりの比率は企業の利益に直結するため、歩留まり率の高低は非常に大きな意味を持っています。

歩留まり率は高い場合と低い場合はどちらが良いのか

歩留まり率という言葉の響きから、歩留まり率の高い方に悪いイメージを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし実際は逆で、歩留まり率は高い方がよいといえます。

歩留まり率が高いというのは「原料に対して完成品の比率が高い」ことを示しています。完成品の比率が高ければ不良品や廃棄する部分が少ないことを意味し、利益の高さに直結するのです。

逆に「歩留まり率が低い」というのは、原料に対して不良品や廃棄分が多いことを表し、利益率の低さにつながります。

歩留まりの計算方法

歩留まり率を計算するには、次の式を利用します。

【【生産数に対する歩留まり率】
歩留まり率(%)=良品数÷総数×100
【原料に対する歩留まり率】
歩留まり率(%)=完成品÷原料×100

生産数の歩留まり率を考えた場合、総数が100個で良品が90個の場合、歩留まり率は90%となります。原料ベースで考える場合は、たとえば100トンの原料から80トンの完成品ができれば、歩留まり率は80%です。

両方を合わせて考えることが一般的であり、100トンの原料から80トン・800個の完成品ができ、その内の500個が良品であった場合、原料に対する良品の最終的な歩留まり率は50%となります。

歩留まり率以外に把握すべき数字

歩留まり率を考える際、合わせて把握しておきたい数字があります。

  • 不良率
    生産における不良品の割合です。生産数に対する不良品数を表す場合と、手直しできず出荷できなかった不良品数を表す場合があります。
  • 手直し率
    生産でできた不良品を手直しして、良品として出荷できるものの割合を指します。
  • 転用率
    不良品となった製品を、他の製品に転用したものの割合です。たとえば、食品の不良品を肥料や飼料に転用するようなケースを指します。
  • 廃棄率
    転用もできず廃棄となった製品の割合です。
  • 良品率
    手直しして出荷できるようになったものを含めた、最終的に良品となったものの割合です。
  • 直行率
    一度の生産工程で良品となったものの割合です。

これらを簡単に表すと、次のようになります。

【生産数に対する各割合の例】

総生産数:100個
初回生産で良品となったもの:50個
手直しして良品となったもの:30個
他の製品に転用したもの:15個
廃棄したもの:5個

生産数における不良率:50(初回生産の不良品数)÷100(総生産数)×100=50%
手直し率:30(手直しして良品になった数)÷100(総生産数)×100=30%
転用率:15(転用した数)÷100(総生産数)×100=15%
廃棄率:5(廃棄した数)÷100(総生産数)×100=5%
良品率:(50(初回生産の良品数)+30(手直しして良品になった数))÷100(総生産数)×100=80%
直行率:50(初回生産で良品となった数)÷100(総生産数)×100=50%
最終良品数に対する不良率:(15(転用した数)+5(廃棄した数))÷100(総生産数)×100=20%
原料に対する歩留まり:80(最終良品数)÷100(総生産数)×100=80%

歩留り率の改善方法

歩留まり率を改善するに当たっては、次の方法が有効です。

  • 歩留まりの低下要因を見つける
  • 目標を設定し取り組む
  • 直行率を上げることができないか検討する
  • AIの活用を検討する

それぞれについて、詳しく見ていきます。

歩留まりの低下要因を見つける

まず、歩留まりを下げている要因を特定することが大切です。

製造業において、歩留まりの低下要因は幅広く考えられます。原因把握には、4M(Man(人間)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法))から見る方法があります。

  • Man(人間):ヒューマンエラー、作業者のスキル・知識不足 など
  • Machine(機械):故障、劣化、不良、メンテナンスの問題 など
  • Material(材料):原材料の不良、品質のばらつき、仕入れ先変更 など
  • Method(方法):マニュアル不備、設計ミス、測定の不備 など

これらを総合的にチェックして、改善を進める優先順位を決めるとよいでしょう。

目標を設定し取り組む

歩留まり率の具体的な目標を定めて、それを達成するために取り組むようにします。

目標の立て方についても非常に重要です。歩留まり率を上げたいからといって、最初から100%の目標を立てるのは現実的ではありません。また、無理な目標設定は現場の従業員のモチベーション低下も引き起こします。

期日を決めて実際に達成可能と思われる目標を設定し、達成した時点で段階的に設定値を上げる形で取り組むとよいでしょう。

直行率を上げることができないか検討する

直行率の向上に取り組むのも、歩留まり率改善には効果的です。

最終の良品率が歩留まりには直結しますが、最終の良品の中でも手直ししたものの割合が高ければコストが変わります。直行品は一度の生産で良品となるのに対し、手直し品は手直しする分のコストがかかるので原価が上がるのです。

良品率を上げることも大切ですが、手直し品が増えると人件費がかさみ、利益が下がります。新しいシステムを導入して業務改善を図り、直行率を上げる施策を検討してみてもよいでしょう。

AIの活用を検討する

最近では、製造業でもAIやIoTの活用が進んできました。

マンパワーに頼った作業が中心だと、できあがった製品のレベルが作業者のスキルによって左右されるケースは少なくありません。生産管理や品質チェックをシステム化することでミスを防止し、熟練度やスキルにかかわらず、誰が作業しても同じ品質での製造が可能となります。

長期的に見ると、歩留まりの向上だけではなく人件費や各種コストの削減も見込めます。イニシャルコストの問題はありますが、導入を検討する価値はあるでしょう。

業界ごとの歩留まりの考え方

さまざまな業界において、歩留まりという概念は使われています。ただし、それぞれの業界での考え方は大枠では同じですが、細かい部分で少しずつ異なっています。

製造

製造業における歩留まりは、企業の損益にかかわる部分が大きくなります。

歩留まりの高低が企業における生産性や効率の優劣と見なされ、ひいては企業の実力として判断されます。原因の特定や具体的な改善策として、イニシャルコストをかけてもIoT化して歩留まり向上を目指す企業も増えてきました。

今後は旧来の方法に加え、AIやIoTの活用で改善を効率的に進めることが求められるでしょう。

人材

人材の採用においても、歩留まりの概念が使われています。歩留まり率は各選考における合格率として算出され、各フェーズにおいて適正な数値があります。

たとえば、採用活動においてエントリーシートが100通に対して選考通過が80名の場合、歩留まり率は80%です。エントリーシートの段階では50%が適正値とされているので、80%だとかなり高いということになります。

営業・マーケティング

営業やマーケティングでは、取り組みの成果に対して歩留まりが使われます。

具体的に使う場面としては「問い合わせに対するアポイント」「アポイントに対する商談数」「商談数に対する成約数」などです。

歩留まりを高めるためには見込み客の獲得と、さまざまなマーケティングの施策が求められます。

水産・畜産

水産や畜産においては、総重量に対する可食部の割合で考えられます。

魚や肉は加工段階で必ず廃棄する部分が出るため、食用としての歩留まり率は100%にはなりません。可食部以外を飼料や肥料、加工品の原料などとして利用し、廃棄部分をできるだけ減らして最終的な利用を100%に近付けるような取り組みが見られます。

生産性や効率性を高めたいなら実績班長の導入もおすすめ

「歩留まりについて理解を深めて、業務改善をしたい」とお考えの企業には、実績班長の導入がおすすめです。

実績班長では、製品が製造されたタイミングでモニタリングでき、検査結果がその場でデータ化されます。それにより良品の仕分けが容易となり、歩留まり率がリアルタイムで把握可能です。

また、IoTを活用し設備に設定したデータを取得することで、どういう状況で機械をどう設定したか、品質にどう影響がでるかが可視化できます。作業データの可視化により誰にでも作業できる環境設定が可能となり、従業員のスキルのよって発生する不良率を抑えることが可能です。

ご相談は無料となっていますので、企業担当者の方はお気軽にお問い合わせください。

まとめ

歩留まりは、製造業にとって利益に直結する大切な指標です。歩留まり率の改善には、低下要因を総合的に把握して改善を進めるようにします。

システムの導入によって、作業の属人化を防いで直行率の向上が見込めます。実績班長では、さまざまな工程のデータ化が実現できるため、効率的な改善が進められるでしょう。ぜひ導入をご検討ください。

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